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  1. 自作人魚投稿(再掲)スレ(15)13/07/15(月)20:18
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「海のうた」DL販頒開始してました

 投稿者:いぬい  投稿日:2013年10月 5日(土)10時47分42秒
返信・引用
  http://www.dlsite.com/home/work/=/product_id/RJ122264.html
公式 http://yuzu.moo.jp/cc/top.html

10/20 COMITIA106
スペースNO.た06a
サークル名Caramel Crunch

「はじまりのうた」はDLではないけど通販、イベントでの頒布はあるようです。
 
 

ちょう小ねた

 投稿者:いぬい  投稿日:2013年 9月29日(日)14時14分19秒
返信・引用
  そのためだけに買うのもどうかとは思いますが、『pecoros』3巻
おまけマンガに人魚姫ものが1ページ。
(公式) http://www.ganganonline.com/comic/pecoros/

あとー なんだっけもう記憶力が壊滅的ダー(;´Д`)
メモるかなんかしないと絶対に忘れる。
 

BLは守備範囲をちょっと外れるのですが

 投稿者:いぬい  投稿日:2013年 9月25日(水)23時09分51秒
返信・引用 編集済
  タマシイが微妙に腐ってるのは認めますが、ハードなのは苦手なんだようw
買ったけどさ! これまでもマンガ小説問わず何冊か買ってるけどさ!

『はなだま人魚』沙野風結子 花丸文庫BLACK(白泉社)
あー 内容はこれから読みます。無事をお祈りください…

しんどい場合はドリフの1巻でテンション上げようw
 

「アキンボー」(1)発売してました

 投稿者:いぬい  投稿日:2013年 9月21日(土)02時50分7秒
返信・引用
  タイトルどおり。

アキちゃんが海で泳ぐようになったら買おうかなw
などと様子見ちゅう。萌え絵オンリー主義ではないけれど、無差別に
人魚本買うほどの余裕もなく(;´Д`) 悩ましいところではあります。
 

人魚の花籠、第1話web掲載

 投稿者:いぬい  投稿日:2013年 9月19日(木)12時36分53秒
返信・引用
  タイトルどおり。
http://tonarinoyj.jp/info/enaga/

エナガ先生の連載は仕切り直しになっちゃうのかなー
読み切りのテイスト良かったので、あの路線でいってくれたら嬉しい、
とも思いつつ。
人魚のおはなしじゃなくならないことを祈りますが、他の話でも
応援つづけます(゚-゚)
 

夏コミ新刊で

 投稿者:いぬい  投稿日:2013年 9月17日(火)15時39分3秒
返信・引用
  http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37528158

書店委託されてたのをげとー。コミックZINとアリスブックスで通販もやってるようです。
「uso1」上田信舟
 http://alice-books.com/item/show/2072-1
 http://shop.comiczin.jp/products/detail.php?product_id=17404

 しらほし姫めいた巨大人魚さんと、珍しくも男人魚が出てきます。
商業誌連載の番外編みたい。楽しそうなので本編も読んでみようかしらん。
 

リライトしたやつ完結しましたー(;´Д`)

 投稿者:いぬい  投稿日:2013年 9月17日(火)15時29分19秒
返信・引用 編集済
  こっちに告知してなかった(;´Д`)
書きかけを貼ったやつ、直してるときりがないので、このあたりで
終わらせてPIXIVにアップしました。
http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=2831567

第4回を掲載したのが去年の夏、退院して自宅療養してる頃でしたね…
やっぱ時間のとれるときでないと気合いいれて長いの書く元気がないと
いうことなのかなぁ。

日々の生活と平行しておはなしを書けたら楽しいんだけど、疲れて寝オチ
してるよーな状態(キーボードのうえに突っ伏し寝とかw)じゃダメダメ
ですよねー。
適切なリソース配分を模索しつつ、今後も(ほぼ俺得なためだけに)なんか
作れたら嬉しいです。

うーん、自分の絵は少なくともコミニュケーションツールとして他人様を
ニヤリとさせたりする効果があるかも知れないと思えるけれど、自作テキストは
存在価値が分からん。本気で分からない。
今たしかに言えることは、脳内妄想を形にして出力しないと自分でも読めないから
仕方なく書く! ってことだけですね。
 

深海魚のアンコさん(1)は明日発売っ

 投稿者:いぬい  投稿日:2013年 9月12日(木)00時16分7秒
返信・引用
  http://comic-meteor.jp/sp/ankosan/
http://comic-meteor.jp/ankosan/

タンコボン発売すぺしゃる企画(サインプレゼント)などもやってるようです
11日新作公開、コミックスは12日発売予定。
特典イラストカードは尻尾重点の人はアニメイトかなー
私はZIN=サンで買うような気がします~
 

8/23に出てた(;´Д`)

 投稿者:いぬい  投稿日:2013年 9月10日(火)23時56分52秒
返信・引用 編集済
  青い鱗と砂の街 1 (マーガレットコミックス) [コミック]
小森 羊仔 (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4088450906/
---
谷和原のぞみ=サンに通報いただきましたー!
しまった、コミックス全然チェック出来てなかったのだわー不覚!
ありがとうありがとうなのです。近日チェックとかレビューとか
出来たらやりますしやれなかったらゴメン、ということで。
 

いちおー出来たし(ver.2.01)

 投稿者:いぬい  投稿日:2013年 9月10日(火)23時27分38秒
返信・引用 編集済
  どっとはらい。細かいとこ直したらピクシブで公開しまーす。(9/13 Ver.2.01)。

-----
[chapter:蒼い呼び声(5)]

[chapter:1]
 覚醒寸前の浅い眠りの中で、夢を見た。マーナの夢ではない。亡くなった義母が現れて、言った。
「もういいのよ、蓮」
「かあさん、『もういい』って何のこと?」
 問い返してみても、義母はただ柔らかに微笑んでいるだけだった。「あなたにはわかっているはず」とでも言うように。しょせん夢なので、理由を問うたところで答えが得られるはずもなかったのだが、たとえ夢であっても、義母が笑ってくれたことはほのかに心を温めてくれた。


 その日、連れ出されたのは深く大きな室内プールだった。水面に波紋が広がって、つやつやした灰色の背びれが横切る。一頭のイルカが、そこには飼育されていた。
「うわ、やめろ!」
 イルカのとがった口吻が脚をつつき、バランスを崩した蓮はプールサイドから落水した。身体をひねって浮上しようとするのをイルカに阻止される。力強い尾ひれが水をかき、底近くまで引っ張り込まれた。水中で人間がイルカにかなうはずがない。鼻先でこづかれ、頭を下に足を上にとつつき回されて、あっと言う間に空間識を失調する。どっちが水面なんだ? まだ息には余裕があるけれど、薬物の影響か身体が重く、思うように水を掻くことすら出来ない。いっそ、このまま沈んでしまおうか。そんな考えすら心をよぎる。過酷な実験に疲れ果てた蓮は「全てを終わりにしてしまえたら」とまで思った。

 人の可聴域から外れたイルカの声が、高く水中に響く。
(イルカが歌ってる…… 俺を気遣ってくれている…?)

 鳴き声としか聞こえなかったそれを「歌」だと認識した瞬間。世界が塗り変わった。イルカの歌だけでなく彼の泳ぐ軌跡(まだ若いオスのイルカなのだと何故か分かった)、水の流れも水圧の変化も、全てはさざなみのように寄せる波で、蓮は、水に満たされた空間すべてを、水が伝えてくる視覚によらない感覚で把握していることを自覚した。とりまく360度すべてをソナーでスキャンし可視化したかのような感覚。目に映るブルーと重なって、また視野の外も、プールの底に落ちている小石までもが、そこに在ると鮮明に理解できる。

 押し寄せる感覚に圧倒されたのか、水と息とをせき止めていた喉の力がゆるむ。吐き出された気泡がゆらぎ砕けながら昇ってゆくのを見て、ぼんやりと思う。
(……ああ、あっちが水面だったんだ)

 空っぽになった呼吸器が空気ならぬ海水を吸い込もうとする、その衝動に蓮は抗わなかった。水が内側から胸を焼く激痛を覚悟したが、痛みは我慢できないほどではなかった。何度も咽せては咳き込むうちに体内の空気は海水に置き換わる。胸腔がすべて水に満たされる頃には痛みは薄れ、喉を撫でる流体の感触がむしろ心地よかった。苦しくない、溺れるどころか水中で息ができる。あの研究員が言っていたとおりに、この胸の中にあるのは肺ではなく、水に適応した呼吸器官であるらしかった。

 笑い声にも似た鳴き声を立てて、イルカが周回してきた。二重のらせんを描いてたわむれるように泳ぎながら、海の言葉を交わす。
(きみが人魚だってこと、一目で分かったよ。なんでヒトのふりなんてしてるのかって思ってた)
(さっきまで知らなかったんだよ、自分でも)
(もう大丈夫だね? さっきまで死にそうなふうに見えたけど)
 蓮は目を見開き、顔をゆがめた。ここが水中でなかったら、思わず涙をこぼしていたかも知れない。イルカって種族はみんなこうなんだろうか。群れから引き離され、狭いプールで孤独に飼育されて彼自身そうとう参っていただろうに、どうやら蓮を元気づけようとしてくれたらしい。

 重かったはずの身体が自然に動く。手足で水を掻いたりせず滑るように身をくねらせて、イルカに寄り添い遊泳する。蓮は、かつてなくリラックスしていることを、そして、失った――これまでアクセス出来なかった記憶を見出していた。

 縛っていたのは己の半身だった。陸で暮らすために、そして義理の両親が心を痛めないように、蓮は「陸の人間」や「普通の子ども」になりきろうとして、幼い頃の、海の記憶一切を自ら封じてしまっていたのだった。ヒトであろうとする意識と目覚めかけた本能とのせめぎ合いの中で、何度か発動した水棲種族としての行動は意識下に押し込められ、思い出すことが叶わなかったのだ。
 けれど、ついに今、蓮は海に住まう者である自分自身を取り戻した。

  我が名はレン、〈東の海〉の人魚の子
  母は地の民ヨーコ、父は海の民ライカ
  〈群れの長〉はサキ、古き海竜の祭司

  光と風、深き青、深淵の恵みにおいて
  群れからはぐれた同胞に安らぎよあれ

 父ライカに教えられたとおりの作法で、愛情を込めてイルカに歌いかける。ひとりぼっちのイルカと、陸で暮らしていた自分とは、似た者同士だったのかも知れない。
(俺は何とかしてここから逃げ出す。そのときは一緒に海へ帰ろうな)
 きゅきゅ! 陽気なイルカは友の呼びかけに、うれしげに応じた。



[chapter:2]
 水中スピーカーから、研究員の冷徹な声が響いた。
「すばらしい。我々の見たかったものを、ありがたくも見せていただいたよ。さて、友達と遊ぶのも大概にして、そろそろ上がってきてはもらえないかね」
 イルカに害をなすことを示唆されて、しぶしぶ水面に顔を出した。再び空気を呼吸するのは、水を呼吸するときよりも苦痛が大きかった。いつかの晩のように胸の奥が痛み、空気に馴染むまで喉は笛のようにヒュウヒュウと鳴った。

 その後、元の白い部屋には戻されず、別室にある水槽に入れられた。水槽は泳ぎ回れるほどには広くなかったが、循環装置が稼働していて、蓮が呼吸するのに問題ない程度の水質を保ってはいた。
 水槽の横では、白衣を着た研究者たちが熱心にメモを取り、汎用機の端末にデータを打ち込んでいる。彼らに積極的に新しいデータを与える気もしないので、黙って水底に膝を抱えて座っていることにした。パイロットフィッシュででもあるのか、小さな数匹の海水魚が放されていて、可愛らしく泳ぐ姿は蓮を少しだけなぐさめた。
 イルカに「逃げよう」とは言ったものの、厳重な監視を突いて外に出る手段は思い付かない。何かしらチャンスはあるはずだ。蓮は待ち続けた。


 歌が聞こえたような気がして、水槽の中で顔を上げる。
 蓮を観察しデータを取っていた者たちが、次々に意識を失ってとデスクや床に突っ伏してゆく。いったい、何が起こったというのか。
(蓮にいちゃん、お待たせ! ひどい目にあった?)
 頭の中で声がした。戸口からひょいと顔をのぞかせたのは、やんちゃそうな小学生くらいの男の子だった。

「だいじょぶだよ、こいつらしばらく起きないから。俺、カイってんだ。サキさんに頼まれて来た。あの人、あれでなかなか忙しくてさ、今ここいらで動けるの俺だけだって、ずいぶん渋い顔してたけど、仕方ないから行ってくれ、だって。失礼しちゃうよなあ」
 今度は声に出して一気にまくしたてられ、口を挟めない。呆然としている蓮に気付くと、にこっと笑った。瞳が翡翠みたいな緑色だ。彼もサキと同じ――
「うん。だけど、サキさんみたいな生粋の人魚じゃないよ。俺も蓮にいちゃんと同じで、人間の血を半分引いてるんだよ」
 言葉にしていない疑問にカイは先回りして答え、それから「あっ」という顔をした。
「ごめん、やっちゃった。心を読んで返事しちゃだめだって、いつも親父に怒られてんのに、つい」
 心を読むだって? 予想外の出来事の連続に、蓮は驚くことすら忘れていた。

「さ、さがって。いまからそこ、ぶっこわすから」
 カイが歌う、人間の可聴域を超えた高い周波の歌を。歌は特定の音域で固体に共振する。水槽のアクリルガラスがビリビリと震えだし、亀裂が生じたかと思うと、粉々に砕け散った。水が勢いよくあふれ出て、部屋を水浸しにする。気絶した白衣の者たちは、それでも目を覚まさない。
「びっくりするなよ。にいちゃんだって、これくらいのことできるはずだぜ?」
 水を失った水槽の中央に座り込み、空気にむせてげほげほと咳き込む蓮に、カイはにやりと笑って手を差し出した。

「蓮にいちゃん、こっち!」
 カイと一緒に広い建物の、迷宮のような廊下を走る。カイはためらいもなく進んでいくが、道を知っているのではないらしい。
「カンだよ、こんなの。てきとーに行けば、外に出られるから」
「本当かよ」

 軽快に走り続けるカイに比して蓮は、長い間、水の中にいたので、身体が重く感じられる。足がもつれて転びそうになるのを、支えてくれた手があった。
「すまないね、ここを探し当てるのに手間取って。君が薬を打たれたりしていなければ、もっと早く来られたんだが。おかげで君には、辛い思いをさせてしまった」
 聞き覚えのある深い響きの声。だが、それはアルトではなく良く通るテナーで、抱き起こしてくれる身体は、見かけよりもしっかりした筋肉と骨格で――
「サキさん! あんた、女じゃなかったのか!」
「女性だと言った覚えはないよ。君は誤解してたみたいだけど」
 くすり、サキはあでやかな笑みを見せた。
「どういうわけか性別を間違われることが多くてね。説明するのも面倒だから、お望み通りの声で話しただけのことだよ」
 嘘だ。この人、絶対に面白がってやってるに違いない。
「群れ(クラン)へおかえり、蓮。〈長〉として君を歓迎するよ。それと、カイ。まったく君は荒っぽいね。水槽を壊さなくても蓮を助け出すことはできたろう?」
「細かいことを気にすんなよ。結果オーライでいいじゃん。とにかく助けられたんだからさあ」
「後始末をするわたしの身にもなってごらんと言うんだ。まったくもう」
 ふくれっ面をするカイの額を人差し指で軽くつつき、それから、サキは蓮に向き直る。
「なにも心配は要らないよ。君の検査データも破棄させたし、関係者は綺麗さっぱりこの件を忘れることになっている」
「だって、そんな」
「心配いらないと言ったろう。記憶操作はわたしたちには難しいことじゃないし、しばらく監視は必要だろうけど、この製薬会社は丸ごと買ったから、何かあっても対処出来るよ」
 サキは茶目っ気たっぷりに、片目をつぶって見せた。
「人魚も陸にいるときはお金が必要だからね。ちゃんと資金はあるんだよ。たとえば、こんなときのために」



 出張から戻った深見康明は、数日ぶりに自分の研究室の鍵を開けた。

 高山からはいきなり辞表が送られてきて、それっきり連絡が取れなくなった。どうしているのか、皆目見当がつかない。蓮は学校に高山が呼びに来たと言うが、やはり、連絡が取れない。捜索願いを出すべきか迷いつつも、蓮はもしかしたら海にいるのかも知れないと考えると軽率に動くわけにもいかず、康明は憔悴しきっていた。
 コンピュータを立ち上げ、データのチェックをして、愕然とした。ディスクに保存してあったはずの、蓮の定時診断の記録が、そっくりなくなっている。高山がやったのか、それとも。

「データは消させてもらったよ、義父さん」
 音もなく、研究室の入り口に蓮が立っていた。
「蓮! 無事だったのか!」
 がたりと椅子から立ち上がる康明。
「なんとかね。けど……」
 言いかけて、表情をくもらせる。康明は息をつき、再び椅子に身を沈めた。
「わかっている。行かなければいけないんだろう?」
「義父さん。今まで本当にありがとう」
 深々と頭を下げる頭に、康明はポンと掌を置いた。
「礼には及ばないよ。親として当然のことをしたまでだ」

 胸を衝かれたように蓮は顔を上げ、康明と視線を合わせた。それから、わずかな沈黙の後で話し始めた。
「――俺さ、小さい頃の夢を見たんだよ。義母さんの夢」
「香奈枝のか?」
「うん。笑ってくれてた。夢ででも笑顔を見られて嬉しかったよ。それで思い出したんだけど、義母さん、俺が海に行ってなかなか帰らないとすごく心配するんだよね」

(かあさんが泣いている)
(僕が泣かせた)

「こんなに優しい女の人を泣かしちゃいけないって、子供心に思ったらしいんだな。だから俺、海で暮らしてたことも、血の繋がったとうさんとかあさんのことも、心の奥に鍵を掛けて閉じ込めて、忘れてしまってたんだ」

(かあさん、安心して)
(僕はどこへも行かないし、他の子と同じようにするから)

「あげくの果てが水恐怖症か。そんなにも、おまえは香奈枝を好いていたのか」
「らしいね。マザコンとでも何でとも言ってくれ。まったく、徹底していたことだよ。俺は広い風呂にだって入れなかったんだから」
 ハハ、と康明は笑い声をあげる。それから、真顔になると口調を変えた。
「おまえがいてくれたことで、香奈枝もわたしも、どんなに救われたことか。だがもう、香奈枝はいないのだし、おまえを縛るつもりはないよ。これからどんなふうに生きていこうと、どこで暮らそうと、おまえの自由だ」
 康明は手を伸ばし、立ったままの蓮の頬に触れる。蓮はその手をそっと握った。
「俺はとうさんとかあさんの子だよ…… どこへ行ったって、ずっと」


            *   *   *   *


 幾度も季節が巡り、独りの暮らしにも慣れた深見康明のもとに、一通のエアメールが届いた。中には、水辺で撮ったモノクロームのプリントが一枚。
 長い髪の、輝くような笑顔を見せている少女、その肩を愛しげに抱いて、柔らかな表情の蓮。少女は半身を水面に出して、布にくるんだ赤ん坊を抱き上げている。ごく注意深い者であれば、彼女の指の間に薄い水掻きがあることに気付くかも知れない。

 『元気な男の子です。優(ユウ)と名付けました』

 写真の裏に書かれた短いメッセージ。見覚えのある筆跡に、涙がにじんだ。
「見えるかい、香奈枝? どうやら、わたしたちに孫が授かったようだよ」
 亡き妻に語りかけると康明は席を立ち、研究室の窓を開けた。気持ちの良い風がカーテンをはためかせる。空には大きな積乱雲が湧き上がり、夏の到来を告げていた。

(了)


*初出:[[jumpuri:Garden in blue > http://homepage3.nifty.com/coolmint/ren_a05.html]](再掲にあたり改稿しました)
 

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